会員ページ

こどもたちの口と歯の質問箱

小学生低学年

歯の生理・解剖

  • Q.歯はどうやってできるのですか?

    A. 乳歯も永久歯も、お母さんのお腹の中にいるとき(妊娠6週目ごろ)から出来始めます。将来の口になる表面の上皮の細胞からでき、木の小枝に花芽ができるように次第に細胞の数を増やしながら内側にふくらんでいきます。完全に歯が出来上がるのは、歯が生えてきて数年後です。(小学生高学年歯の解剖生理Q2参照)

    歯は口の中に見える歯冠部と顎の骨に埋まって支えてとなっている歯根部からなっています。また歯の構造には歯冠部の一番外側を最も固いエナメル質、その内側にある象牙質、歯根部のまわりを覆っているセメント質、神経と言われる組織のある部分が歯髄と呼ばれています。

  • Q.どうして子どもの歯とおとなの歯があるのですか?

    A. 乳歯は胎児期から作られ始め、3歳頃までには全てが生えてきます。永久歯は、歯の芽が作られるのは胎児期ですが、生後6年から10年近く経って生えそろいます。食物を摂取して生きていくために歯が必要ですから、早く乳歯に活躍してもらわなくてはなりません。子どもの顔と顎は小さいので小さい乳歯が必要であり、成長に伴って顎は大きくなり、より大きく丈夫な歯が必要になります。しかし、一度作られて生えてきた歯は大きくならないので成長すると乳歯では不十分となるため新しく生えかわったり、乳歯の奥歯のさらに後ろから6才臼歯や12才臼歯と呼ばれる第一大臼歯や第二大臼歯が生えてきます。

  • Q.歯がかけたと言って子どもが破片を持ってきました。骨のように硬いのですが口の中を見ても、かけたようなところは見当たりません。これはなんですか?

    A. 萌出性腐骨(ほうしゅつせいふこつ)と言って、大人の歯が生える時に、その上を覆っていた骨がうまく吸収されずに残ってしまったものです。ほとんどが大人の歯が生え終わる時までに自然に取れてしまいます。しかし腐骨が大きくてかむと痛い、出血するなどの場合は、歯科医院で除去します。

  • Q.小学1年です。子どもの歯の後ろを指差して痛いといいます。歯のないところを痛がっているようです。とくに腫れているようには見えませんが、むし歯でしょうか?

    A. 6歳臼歯が生える時の痛みだと思います。乳歯の一番奥に生えてきます。少し歯が出てくると痛みが収まります。また、少し生えてきても、歯の後ろの方に歯ぐきがかぶさっていて歯ブラシがしにくいです。ここに汚れがたまって炎症を起こすと痛みが強くなります。タフトブラシなどで丁寧にみがきましょう。

歯みがき・むし歯予防

  • Q.電動歯ブラシは使用してもいいですか?

    A. 最近では電動歯ブラシも沢山種類が販売されていてかなり良くなってきていますので、使用してもかまいません。ただし、使い方や歯ブラシの回転方法によっては、歯肉が傷ついたり、下がったり(退縮)します。また、歯並びや歯の形によっては細かいところまで電動ブラシの毛先が届きにくいこともあります。かかりつけの歯科医院にて相談し十分な指導を受けてから使用した方がいいでしょう。また歯ブラシの大きさや重さも色々あり、子ども自身では充分使い切れないこともあります。保護者の方が仕上げ磨きで使用するにしても、電動歯ブラシだけに頼らず、手用歯ブラシも使えるようにしましょう。

  • Q.一番奥に大人の歯が生えてきました。むし歯にしないようにするにはどうしたらいいでしょうか?

    A. 6歳頃に乳歯のさらに奥に生えてくる大人の歯を第一大臼歯(6歳臼歯)といいます。お口の一番奥に生え、さらに歯のかむ面を歯ぐきが覆っている期間が長く、歯ブラシがうまく当たらずにむし歯になりやすいところです。丁寧に歯ブラシを当てるとともに、歯科医院で予防処置をしてもらいましょう。シーラントといって、むし歯になりやすい第一大臼歯(6歳臼歯)のかむ面をあらかじめ、セメントやプラスチックで埋めてむし歯予防をする方法です。生えてきて間もない永久歯をむし歯にならない強い歯にするには、「フッ化物の塗布」も有効です。小児歯科を受診しケアしてください。

  • Q.歯と歯の間にものが挟まったときはそのままにしていてもいいですか?また、つまようじを使ってもいいですか?

    A.むし歯や歯肉炎、口臭などの原因になりますのでそのままにしないで、取り除いてください。つまようじは、歯肉を傷つける可能性がありますので、糸ようじ(デンタルフロス)を使用するのが一番いいでしょう。この機会に、習慣付けて糸ようじを使うようにしましょう。正しい使い方をかかりつけの歯科医院で聞いてみましょう。

  • Q.最近、歯医者さんに行くと、「シーラントをしました」とよくいわれます。シーラントについて詳しく教えて下さい。

    A. シーラントは、フィッシャーシーラントといいます。むし歯の予防、あるいは初期のむし歯に対して合成樹脂でコーティングする処置です。歯には、細かい溝が存在し、なかなか歯磨きではよごれがとれません。そのような場所は、むし歯になりやすいところでもあります。この溝のところをむし歯にならないようにシーラントでふさいで食べ物が詰まらないようにしたり、よごれがたまらないようにしたり、小さなむし歯をそれ以上進行させないために行います。萌出間もない歯はまだ歯質が弱いため、フッ化物の配合されたシーラントで歯を強くすることも効果的です。

むし歯と治療

  • Q.むし歯はどうしてできるのですか?

    A.口の中にいるむし歯原因細菌(主にストレプトコッカスミュータンスが、糖質を利用して歯の表面にグルカンと呼ばれる水に溶けないネバネバした物質(プラーク=歯垢)をつくります。このプラーク(歯垢)が細菌をすみやすくし、その中のむし歯原因菌が糖質を利用して酸を作り、その酸が歯の表面を溶かすことで、むし歯となります。

  • Q.歯医者さんの道具はどうして音が出るのですか?

    A. 歯は硬いので、手で削るのは大変です。だから器械を使って治療します。むし歯を取り除いたり、歯を削っていくタービン、エンジンといわれる器械は、電気モーターやエアー(空気の圧力)により高速で回転しているので、回転音がでます。また、削る時の発熱を押さえるためにスプレー状の水をかけるのでその音もします。最近は技術開発も進み、以前に比べてかなり音も小さくなってきています。そして口を開けているとそれらの削りカスや、つばの飲み込みができないので、たまるつばを吸い取るバキューム(吸引器)も掃除機のような音がします。まるでお口の中を工事しているような音と振動があります。どれもむし歯を早くしっかりと治療するために必要なものです。

  • Q.歯の治療をする時、どうしてマスクのゴムをかけるのですか?

    A.小さい子どもは治療中に急に動いたりすることが多く、治療をするときに、歯の治療に使うお薬、銀歯、器具などを誤って飲み込みこんだり、歯を削る時、唇、頬や舌を傷つけたりすることを防ぐためゴムのマスクをかけます。また、唾液によって詰め物と歯との接着性が弱まってしまうことを防いだり、歯の根の治療の時は、唾液や細菌を歯の中に入れないようにするために必要なのです。

  • Q.水やお湯がしみるのはむし歯ですか?

    A. しみる原因は二つ考えられます。ひとつはむし歯です。中程度のむし歯では水や甘い食べ物がしみます。お湯もしみる時は、むし歯がかなり進行して、神経にまで及んでいる時です。もうひとつは、知覚過敏といって、歯が咬んでいくうちにすり減ったり、歯ブラシ圧が強かったり、くいしばりなどにより歯肉が下がって、歯の根が出て、神経が過敏になっている時にもおこることがあります。お湯がしみる、寝入りばな、体が暖かくなると痛む場合は、歯の根の先に膿を持っていることもあります。どちらも一度早めに歯科医院で診てもらってください。

  • Q.どうしてむし歯になると黒くなるのですか?

    A.むし歯になった深い穴は、象牙質という歯の層になります。この象牙質は有機質を含んでいます。むし歯が進行するとこの有機質が腐敗します。この腐敗した有機質の色素が褐色であったり、黒色であったりするわけです。食べ物のかすなどがつまり、食べカスを栄養にして細菌が褐色や黒い色素を作り、それが歯に取り込まれていくからです。

  • Q.どうしてむし歯になると歯が痛くなるのですか?

    A.すりむいたりケガした時に風が当たると痛くなるのと似ています。歯の中に、神経がかよっている歯髄とよばれるところがあり、むし歯が進行して歯髄に近くなると、冷たい物、酸味のある物は神経を刺激して痛みが出ます。むし歯が神経まで達すると、神経が炎症を起こすため、食べたり飲んだりしていない時にも痛みが出るようになります。

  • Q.入れ歯(小児義歯)をつけたままご飯を食べてもいいですか?

    A.大人の使う入歯と同じように、食べることができます。むし歯などで奥歯が無くなった場合は、食べる量が少なくなったり、軟らかい物しか食べられないため、成長発育に悪い影響を及ぼします。小児用の入れ歯を使ってきちんと食事が出来るようにしましょう。入れ歯も歯と同様、食後はきちんと磨いてお手入れをして清潔に保ってください。また、子どもの口の中は成長変化があるため、定期的にかかりつけの歯科医院にて入れ歯の具合等を診てもらいましょう。

食べ物・食べ方

  • Q.歯みがきガムやシュガーレスガムを食べるとむし歯になりませんか?

    A. 歯みがきガムやシュガーレスガムを食べるだけでは、歯の表面にできたプラークなどは除去できませんので、しっかりと歯みがきをすることが大切です。ガムによるむし歯予防効果の1つはガムを長い時間咬み続けることで、唾液がたくさん出て、口の中が洗い流されるのでむし歯が作られにくい環境になります。また、そのようなガムには砂糖の代わりに代用甘味料が使われていて、むし歯原因菌が砂糖と違い利用できないため、歯を溶かす酸を作りにくいことから予防効果は期待できます。その代表がキシリトールです。ただし、強い甘みがあるため、子どもたちが甘いものだけを欲しがることのないよう、上手に利用することが大切です。

  • Q.キシリトールはむし歯になりませんか?

    A.むし歯になりにくいようです。むし歯の原因となる細菌が、歯垢をつくり、歯を溶かす酸をつくることを阻止できるからです。また、細菌の増殖を抑える作用もあります。このように砂糖の代わりとなる代用甘味料はキシリトール以外にもエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニットなどの糖アルコール、パラチノース、アスパルテーム、ステビオシド、スクラロースなどいろいろあり、むし歯予防だけでなく糖尿病の予防、ダイエットにも利用されています。

外傷

  • Q.歯をぶつけて痛い時はどうすればいいですか?

    A.まず、その歯を安静にすることが大切ですが、症状によっては歯科医院で固定することや抜歯が必要になる場合もあります。固い物をかまないようにしたり、刺激を与えないようにすると同時に、なるべく早く歯科医院を受診し、よく診査してもらうことが必要です。

  • Q.歯をぶつけて唇から血が出た時は、歯医者さんに行ったほうがいいですか?

    A. できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。傷が浅ければ、消毒だけでよく、腫れもあまりありませんが、傷が深い時は、傷口から感染して化膿したりすることもあります。また、歯をぶつけているので、現在歯に痛みはなくても後々に症状が出てくる可能性があります。出血箇所から唇の傷だけのように見えることもありますが。歯をぶつけていると歯にも何か影響がある場合があります(かけたり、ヒビが入っているなど)。エックス線写真での確認が必要な場合もあります。正確な診断による適切な処置を受けるようにしましょう。

  • Q.歯が抜けた時は何を食べればいいですか ? また歯ブラシはどうすればいいですか?

    A. 歯が抜けた当日は、極端に固いもの、すっぱい、しょっぱいなどの刺激の強い飲食物をさければ、あとは普通の食事でいいでしょう。歯磨きは抜けた場所に毛先が当たらないように注意しましょう。軽くうがいでかまいません、抜けた場所(歯科で抜いた時も一緒です)に歯ブラシをあてると出血しますし、血が気になって何回もうがいをすると、さらに止まらなくなります。当日は、その部分に刺激がないように安静にしてください(舌や指で触らない)。出血したときはきれいなガーゼをたたんで、歯が抜けた所にあてて5~10分ほど咬んでいると止まります。歯の根の一部などが残っていると、出血や痛みが続くことがあります。その場合は歯科医院にて診てもらいましょう。

歯の萌出と歯並び・かみ合わせ

  • Q.上の前歯が生えてきましたが、変な形をしています。これは何でしょうか?

    A. 過剰歯と言って、余分な歯です。この上に本来の歯があることが多く、過剰歯を抜歯すると本来の永久歯がちゃんと生えてきます。なかには永久歯が異常な位置にあることもありますので、かかりつけの歯科医院でエックス線写真などを撮影して、定期的に診てもらいましょう。

  • Q.大人の歯が生えてきたのに、乳歯がまだ抜けません。

    A.なんらかの理由で、乳歯の根がうまく吸収できなかったのでしょう。永久歯が生えてきているのに、乳歯が抜けていない場合は、早く抜歯してあげることで、歯並びの不正を防ぐことができる場合がありますので、早めにかかりつけ歯科医院を受診して下さい。

  • Q.歯並びが悪いといわれました。何か体に悪いことがありますか?

    A. 重症の場合は、かむ力が弱くなったり、食事がよくとれなくなったりして、消化不良、胃腸障害をおこす可能性があります。また、噛み合わせが左右均等でないことが原因で、顎(あご)の関節に影響が出ることもあります。そうなると、体全体の発育に影響を与えることになります。その他、発音障害が生じたり、むし歯や歯周病になりやすくなったりします。また、8020達成者(80歳まで20本の歯がある方)はきれいな歯並びをしていることからも、歯並びは全身の健康と深く関わっていると考えられています。成長期に一部分の歯のかみ合わせが交叉しているため、骨の成長に影響する場合は、顎の変形などが起きないように早期の矯正治療をすることがあります。

  • Q.歯並びをよくすると、スポーツが上手になりますか?

    A.一般に、歯並びが良いとそれだけ、上下の歯のかむ面積が大きくなり、かむ力も大きくなります。かむ力が増せば、強くくいしばることができ、体全体の力もより多く入るようになります。力を入れなければならないスポーツでは、間接的に運動能力が向上する可能性があると考えられます。

  • Q.前歯がかみ合わず、そこに舌を入れて遊ぶので歯並びが悪くなってきたようです。

    A. 子どもの前歯が抜けて、生えてくるまでの間に、その隙間に舌を入れて遊ぶ子どもを見かけます。そのままそのくせが残ると、前歯がかみ合わなくなります。また、もともとつばを飲む時に舌で前歯を押すくせのある子にも見られます。気をつけるだけで歯並びがよくなることもありますが、一度小児歯科または矯正歯科の専門医にご相談ください。それ以外にも、鉛筆やお箸を噛むくせがある、頬杖をつくなどでも歯並びに影響がでます。

  • Q.生えてきた上の前歯がスキッパになっています。矯正したほうがいいでしょうか?

    A.生え始めの歯はハの字に開いて生えてくることが多く「みにくいアヒルの子の時代」と言われます。そのとなりの歯が生え、さらに犬歯が生えるころになると自然に閉じることが多いので、そのまま様子をみます。しかし、隣の歯が後ろに生えてきたり、犬歯が八重歯になって生えてくる場合は、隙間は自然に閉じないので、治療が必要になります。

  • Q.下の前歯がどんどん長くなってきて、少しぐらぐらしているようです。歯科医院へ行ったほうがよいですか?

    A.下の前歯が上の前歯に強く当たることにより、歯ぐきが下がっていきます。ひどくなると、しみたり、歯がぐらぐらします。一本だけ反対になっている歯に荷重がかかり、図のような歯ぐきになっている場合に起こることが多いので、かみ合わせの治療を行います。

全身疾患関連

  • Q.口の中がくさい時はどうすればいいですか?

    A. 口臭には、だれにでもある生理的口臭(早朝時、緊張時の口臭)以外に、飲食物による口臭(コーヒー、にんにく等)、病的口臭(重症なむし歯、歯周病などの口の中の病気、消化器、呼吸器、鼻咽腔疾患が原因となるもの、口腔内乾燥症等)があります。病的口臭の場合は、原因疾患を治療することが必要です。それ以外の口臭では、原則としては、口腔内を清潔にしておくことが大切で、歯みがきを十分にすることです。細菌を除去し、くさい原因となる物質を洗い流してくれるからです。また、ガムを噛んだり、洗口剤や口臭予防剤を使用するのもいいでしょう。中には、まだ、胃腸の発達が未熟なために、刺激の強い食物をうまく消化できないこともあります。香辛料が強いような食べ物は控えるなど工夫してみてください。

  • Q.奥に生えてきた歯が茶色くて、すでにむし歯のようにみえます。治療が必要ですか?

    A. 歯が石灰化する時期に何らかの影響で、うまく石灰化できなかった「エナメル質形成不全」といわれる歯です。茶色いからといってすぐに削ってしまわず、フッ化物を塗って歯の質を強くし、再石灰化を期待したり、セメントやプラスチックで覆うなどの処置をします。まずは小児歯科専門医がいる歯科医院を受診してご相談ください。エナメル質形成不全は同じ時期に石灰化する歯に共通して見られます。前歯と6歳臼歯は同じ時期に石灰化するので、同じように形成不全が見られることが多くあります。

一覧に戻る