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こどもたちの口と歯の質問箱

産まれてから2歳頃まで

食べ物・食べ方

  • Q.おっぱいをうまく吸えません、なにか原因はありますか?

    A. 子どもの上唇の上のすじ(上唇小帯)や舌の下のすじ(舌小帯)が長すぎたり、短かったりすると赤ちゃんがおっぱいに吸い付くのが難しくなります。しかし、お母さんの手助けで吸えるようになることもあります。写真のように、上唇を巻き込んでいるようなら、吸い付いたあと、そっと上唇を伸ばしてあげてください。唇の赤い色が見えるぐらいラッパ型に吸い付ければ大丈夫です。

    《授乳指導》
    唇はめくれているかな?赤い唇がみえてラッパのようになっているか?

  • Q.母乳と粉ミルクの違いはあるのでしょうか?

    A. 母乳には免疫成分が含まれていて特に初乳は赤ちゃんを感染症から守る働きがあります。粉ミルクは、主に牛乳が原料ですが、より母乳に近づけるために各メーカーで研究がなされ日本の育児用ミルクの成分は健康増進法(特別用途食品:乳児用調製粉乳)に定められた基準にしたがっていますので、乳児が健康に発育するための必須栄養成分の含量に関しては、各社の製品の間に大きな違いはありません。また、母乳と粉ミルクでは糖の含量成分に大きな差はなく、むし歯の発生リスクには差はありません。母乳か粉ミルクかより哺乳時間や哺乳姿勢が大事であり、スキンシップをはかりながら良好な母子関係を築くよう心がけ、授乳時は携帯電話やスマートフォンからは手を離し、テレビを消すなど落ち着いた環境をつくることが大切です。小さいときから食事に集中する環境作りが必要です。また夜中の頻繁な授乳はむし歯になることもありますので気をつけましょう。乳幼児期から小児歯科専門医またはかかりつけ歯科医に定期的に受診しながら、
    口の健康を獲得してください。

  • Q.赤ちゃんが卵、牛乳アレルギーといわれました。歯や骨を丈夫にしたいのですが、何を食べさせたらいいでしょうか?

    A. 卵・牛乳のアレルギーでお困りなのですね。でもカルシウムは、小魚やひじき,それに小松菜や豆類にも多く含まれています。豆腐や納豆などの豆類は、離乳食としても理想的な食材です。また魚介類やしいたけは、ビタミンDを含みカルシウムの吸収を促します。さらに適度な運動は健康な骨を作ることにもつながります。大切なことはカルシウムにこだわらず、何でも食べる元気な子を育てることです。また、乳製品でもアレルギーの原因となっている物質を除いた製品もありますので、この選択については主治医と相談して下さい。歯科で使用する材料の中には、アレルギーの原因になるものもありますので、歯科受診の際はアレルギーの有無をお知らせください。

  • Q.哺乳ビンはいつ頃まで使っていいのでしょうか。

    A. 哺乳ビンは飲み物をこぼさなくてすむので、つい長く使ってしまいがちです。 哺乳ビンにジュースやイオン飲料など糖分の多い飲み物を入れて飲ませたり、寝る時に哺乳ビンでミルクを飲ませながら眠ってしまうと、むし歯のリスクが高くなります。離乳が進んできたらスプーンで水分をとる練習を始め、10か月頃にはコップから飲ませる練習もしましょう。1歳過ぎには自分でコップを持って飲めるようになります。1歳6か月ごろには卒乳も含め哺乳ビンも卒業したいですね。

  • Q.食べ物をためていて なかなか飲み込みません。どうしたらよいでしょうか。

    A. 乳歯の奥歯が生えたばかりの頃は、まだ歯を使った咀嚼が上手にできません。たとえば線維の強い肉や野菜、弾力性の強い食品などは、かめてもすりつぶせないため、なかなか飲み込めません。軟らかく食べやすいものならうまく飲み込んでいるようでしたら、まだ処理がむずかしい食べ物なのかもしれません。奥歯が生えそろってもためやすい子どもや食事の後半からためるような食べ方になる子どもは、あまり食欲がないのかもしれません。おやつやジュース・牛乳などを控えて、お腹を空かせてから食事の時間をむかえるようにしましょう。食欲を育てるためには、遊びや睡眠など生活リズムの調整も必要です。また、かみ合わせや舌小帯の異常で咀嚼や飲み込みが上手に出来ないこともありますので、健診の時にチェックしてもらいましょう。

  • Q.うまくかめないで、丸のみしているようです。大丈夫でしょうか。

    A. 奥歯が生えそろわない1~2歳代は、咀嚼が未熟でかみにくい食品も多いものです。かんだだけで口から出してしまったり、ためていたり、また食欲のまさった子どもは丸のみをしてしまいます。丸のみが習慣になると、食事時間が早くなり、食の満足感が得にくくなったり、唾液の分泌が減少して口の中の自浄性が低下します。早食いはまた過食につながり、肥満になりやすく、成人期の生活習慣病の原因にもなりがちです。うまくかめないで丸のみしているようでしたら、少しかみやすい食形態に調整したり、かみつぶしやすい煮野菜などをやや大きめにカットして、かむ習慣をつけるといいでしょう。また、食事をゆっくり楽しめるような環境づくりも大切です。

  • Q.ごはんを口の中に入れたあと、すぐに水や麦茶を含みます。水で流し込んでいるようですが大丈夫でしょうか?

    A.ごはんの時はなるべく水の入ったコップなど近くに置かないようにしましょう。しっかりとかんで、唾液を沢山だすことによって、消化がよくなります。水分は食後取るようにしましょう。小学校に入って、給食の牛乳がなくなると同時に食べるのをやめる子どもが増えています。水分がないと食べるのが苦痛になるようです。

  • Q.離乳食をスプーンで食べさせるとき、スプーンを口の中まで入れないようにと指導を受けました。どうしてですか?

    A. 離乳の初期段階では「捕食」といって唇で食べ物を取り込む練習をします。スプーンを口の奥まで入れてしまうと、丸のみしてしまいます。写真のように、自分からスプーンの食べ物を取り込むこどもの唇は三角に尖っています。これは唇を閉じる訓練にもなります。口の前の方で食べ物を取り込むと、舌で食べ物を上顎(口蓋)に押しつけて大きさや硬さを感じとることができるので、舌を使って左右の歯ぐきや歯に食べ物を持って行き、「かむ」練習をしながら飲み込むようになります。

  • Q.1歳児におやつは必要ですか?

    A. 1歳を過ぎると離乳も完了期を迎え、3回の食事が栄養の主体になります。でもこの時期の小児の消化機能はまだ未熟で1回に食べられる食事量も限られるため、「補食」としてのおやつの必要性が高いものと考えられます。補食の意味からは、食事に近い炭水化物(おにぎりやパン)やいも類、そして食事とはちょっと違った楽しみとしては乳製品や果物が望ましく、市販菓子類としてはビスケットやせんべいなどを牛乳や麦茶と組み合わせることが奨められます。おやつの時間や回数を決めて、甘味飲食物を上手にコントロールすることで、歯や口の健康を守りながら「おやつタイム」を親子で楽しめるといいでしょう。

歯みがき・むし歯予防

  • Q.歯みがきはいつから行えばいいでしょうか?

    A. 乳歯が生え始めたら歯みがきの習慣づけをはじめましょう。まず子どもをあお向けに寝かせ頭を保護者のひざの上にのせ口の中を観察することからです。また清潔な指で口の中を触ることもよいでしょう。特に上唇の裏を触られるのを嫌がります。少しづつ伸ばしてあげると子どもは口をいじられることに慣れてきます。初めのうちはガーゼや綿棒などで清拭してあげればいいでしょう。慣れてきたら乳児用の歯ブラシで1~2回ちょんちょんと歯に触れる練習から開始しましょう。歯ブラシの刺激に慣れてきたようなら、歯を見ながら1本ずつ優しくみがきます。1本5秒位で十分です。強すぎたり、長すぎたりして子どもが嫌にならないように気をつけましょう。上手にできたことをほめてあげることも忘れないでください。また上唇をめくるとミルクのカスがついていることがあります。この部分は唾液による自浄作用が少ないので、ガーゼで拭うなどしてあげるとよいでしょう。

  • Q.歯ブラシはどのようなものがいいでしょうか?

    A.毛のついた頭の部分が小さめの歯ブラシ(毛の部分が2本分の歯の幅程度)で、しかも毛先が丸く加工してあるほうが磨きやすく、歯ぐきにもやさしいのです。ただ歯みがき習慣ができるまでの時期は楽しい歯みがきを目的にお気に入りの色やキャラクターで選んでもよいと思います。仕上げみがき用に柄が長めで保護者が持ちやすい歯ブラシも用意しましょう。

  • Q.歯みがきは一日何回必要ですか?

    A.歯ブラシに慣れることが目的の時期は、子どもの機嫌のよい時間帯や保護者の余裕のあるときに行い、慣れてきたら毎食後習慣となるように徐々に増やしていきましょう。寝ているときは唾液の分泌量が減少するため、むし歯菌が繁殖しやすくなります。少なくとも寝る前は必ず仕上げみがきは行ってください。

  • Q.歯みがきの仕方を教えてください。

    A. 姿勢は保護者の膝の上に頭をのせて寝かせてみがきます。歯ブラシはできるだけ小さなものを使い、歯ブラシの持ち方は、ペンを持つようにして、片方の指で子どもの唇を軽くめくり、動かし方は、前後みがき、あるいは横みがきをして下さい。2歳頃までは、上の前歯の歯と歯の間や歯と歯肉の境目がむし歯になりやすいので、特に注意しましょう。長い時間みがくことができない場合は、いつも同じところしかみがかなくなってしまいます。順番を決めてみがくとみがき残しを防げますが、時々逆の順番でみがくようにするのも良いかもしれません。また、歯ブラシをお口の中に入れるときは頭をしっかり固定できる姿勢で行ってください。突然動くと歯ブラシでお口の中を傷つけてしまうこともあります。

  • Q.1歳半の子どもです。歯みがきをいやがります。いい方法はありますか?

    A. この年齢では、歯みがきをいやがる場合が多いのでやさしく話しかけたり、楽しい歌を歌いながら笑顔でみがいてあげてください。保護者の方も一緒に歯みがきをするといいでしょう。また、寝かせみがきをする時は、時間をかけずに効率よく行うことです。大切なことは、毎食後に歯みがきをする習慣をつけることです。沐浴を嫌がる赤ちゃんでも保護者の方はいろいろと工夫して毎日お風呂に入れ、体を清潔に保ちます。お口の中も体の一部です。毎日きれいにする習慣をつけましょう。なお、大人のみがく力が強すぎて痛かったり、上唇小帯という上の前歯に張り出しているすじ状の部分に歯ブラシが当たっても歯みがきを嫌がることがあります。力加減に気をつける、歯肉に強く当てないなどにも注意を払ってください。すじに直接歯ブラシを当てると痛がり、歯ブラシを嫌がるようになります。保護者の指でしっかりと上唇をめくり、小帯(すじ)が見えるようにします。その後、すじをさけて一本ずつ磨くようにします。

    A.歯をみがくことに一生懸命で、子どもが不快な思いをしていないでしょうか?親が歯を磨くことに夢中で子どもに口を開けさせたままだと、唾液が喉にたまり呼吸ができず苦しくなります。一度歯ブラシを口からぬいて、唾液を飲み込むと呼吸が楽になります。これは一例ですが、子どもが何故嫌がるかを考える必要がありそうです。

  • Q.歯みがきをしてあげると歯ブラシをかんでしまい、すぐにダメにしてしまいます。どうしたらいいでしょう?

    A. 子どもさん用の歯ブラシと保護者用の仕上げ磨き用の歯ブラシと分けてみてください。それでもかんで歯ブラシをダメにしてしまう子どももいますが、その場合はだめになる頻度が多くても仕方ないと考えてください。かんでダメにしてしまう時期は、いつまでも続きません。幼児になって注意をしてあげればかまなくなってきます。それまでの間は、ダメになったらその都度新しいものに変えてあげてください。

  • Q.歯磨剤を間違って飲んでしまいました。大丈夫ですか?

    A. 歯磨剤の中には、研磨剤、潤滑剤、発泡剤、香料、甘味料、フッ化物などが含まれていますが、普通の使用量であれば、飲み込んでも心配はいりません。

  • Q.フッ化物塗布が歯にいいと聞きました。いつから始めればいいですか?

    A. 歯が生えた後、唾液中に含まれるカルシウムが歯に付きさらに硬くなります。だから生えて間もない時期の歯は、まだ十分に硬くなっていないためむし歯になりやすいのです。フッ化物は、歯を硬くする作用があり、乳歯・永久歯に関わらず生えた直後に塗るのが最も効果的です。まずは下の前歯が生えてきたころから定期的に歯科へ通い、上下の前歯が生えてきたらフッ化物の塗布を行ってみてください。また、うがいができない年齢でもフッ化物を塗布することは可能です。ただし、フッ化物はむし歯予防の万能薬ではありません。塗ったからといって安心せず歯みがきの習慣やきちんとした食生活をすることです。

  • Q.お茶が歯を丈夫にすると聞きました。一日どのくらい飲ませればいいのでしょうか?

    A. お茶の中には、フッ化物やカテキン(抗菌作用)が含まれています。毎日の生活の中で、習慣として飲ませることをおすすめします。お茶は牛乳と違い栄養価がありませんから飲みすぎてもお腹が減らないことはありません。ただ、緑茶にはカフェインも含まれるので、子どもの水分補給の目的の場合は、麦茶か水を飲むようにするといいでしょう。お茶は色がついていて、味もあります。喉が渇いたらお茶という習慣をつけると色の付いた飲み物、味のある飲み物を求め、水を飲むことができなくなる子どももいます。喉が渇いたら水、食後はお茶というようにするとよいでしょう。

  • Q.歯みがきを自分でしたがります。このまま自分でさせていてよいでしょうか?

    A. 自我の芽生えとともに何でも自分でしたがることが増えてきます。歯みがきもそのひとつと思います。自分でしたがる気持ちを大切にしてあげて下さい。しかし、大人でもしっかり歯みがきをすることは難しいことです。自分でしっかり磨けるようになるまでは保護者の方のサポート(仕上げ磨き等)が必要になってきます。大事なこととして、歩行の発達が未熟な幼児期は歯ブラシを加えたまま転倒し、喉を突いたりする事故に繋がるケースがあります。また、お口は脳に近い位置にありますので注意が必要です。自分で歯ブラシを持つ時は座わる約束等をして、保護者は事故が起きないようにしっかりみてあげて下さい。

  • Q.1歳半を過ぎていますが、眠くなるとぐずるので母乳を飲みながら寝てしまいます。むし歯が心配ですが、大丈夫でしょうか。

    A. 母乳育児は、栄養学的利点のみでなく、子どもの精神的安定に効果があることがわかっており、乳児期にはできるだけ続けたいものです。ただ、1歳を過ぎると、砂糖をとり始めることでむし歯原因菌(主にミュータンス連鎖球菌)が歯の表面に付着しやすくなり、そこに母乳を与えたまま眠って母乳が口の中に長く残っていると、むし歯のリスクが高まります。母乳を続けているうちは、甘味飲食物を控えて、歯みがきをしっかり行い、むし歯のリスクを下げましょう。フッ化物を利用するのもいいでしょう。また、昼間よく遊ばせ、疲れて母乳にたよらずに眠れるようになるかもしれません。子どもの様子をみながら卒乳の準備をしていきましょう。

  • Q.歯に白い線がついていて、歯ブラシでみがいてもとれません。これはなんですか?

    A. 白班(はくはん)と言って、むし歯のなりかけです。特に、唾液による自浄作用(自然に生じる清浄力)が悪い上の前歯に多く見られます。白班になっている部分の汚れをしっかりと毎日除去し(歯ブラシを当てる)、フッ化物の塗布など行うと「再石灰化」してもとのような歯に戻る可能性があります。このままほうっておくと、茶色い線になり、穴があいてしまいます。

  • Q.8か月の子です。まだお菓子など与えていないのに、むし歯のなりかけだと言われました。どうしてですか?

    A. むし歯は四つの条件が揃ったときになります。その中の糖というのは砂糖だけではありません。炭水化物や果物にも糖が入っています。ここに、その他の条件が揃うとむし歯が発生します。汚れが長く付いている時間を少なくするために食後は歯みがきをしましょう。ただし、8か月では普通むし歯はできません。哺乳ビンでイオン飲料を飲ませるなどの明らかな理由があると思われます。小児歯科専門医またはかかりつけの歯科医院を決めて、ご相談下さい。

  • Q.酸蝕症って子どもでもできるのですか?

    A. むし歯は、歯の表面に付着したプラークの中の細菌(むし歯菌)が、食べ物の糖分を分解して酸をつくり、その酸が歯を溶かすことで発生します。それに対して酸蝕歯は、食べ物や飲み物などの酸が直接歯に作用して歯を溶かすことで発生します。通常の食事では、少し酸性のものを食べても、唾液が働いて酸を中和、緩衝してくれるので、そう簡単には酸蝕症にはなりません。ただ、市販の清涼飲料(ジュースや炭酸飲料、スポーツ飲料など)は酸性のものが多く、これらの飲料を水代わりに頻回飲んだり、とくに1~2歳児では哺乳びんやストロー付きマグなどで長時間飲んでいたりすると、酸が歯に接している時間が長くなり、酸蝕が起きやすくなります。また、寝ている間は唾液の分泌が減少するため、寝る前に酸性の飲食物を摂って,そのまま寝てしまうと、酸蝕を起こしやすくなります。

歯ならび・癖

  • Q.歯はいつごろどんな順序で生えるのでしょうか?

    A. 乳歯はまず下の真ん中の2本から生後6~9か月ごろ生えはじめます。離れたり少しねじれたりして出てくることもありますが、あまり心配はいりません。1歳3か月ごろになってもまだ歯が生えてこないようなら小児歯科専門医またはかかりつけの歯科医院で相談しましょう。続いて上の真ん中の2本が生えてくるのが一般的で、最後に上の奥歯(第二乳臼歯)が2歳半ごろ生えてきますが、個人差もありますのであまり気にしないでよいと思います。

  • Q.生まれたときから歯が生えているのですが、何か不都合はありますか?

    A. 生まれた時、すでに生えている歯のことを先天(性)歯といいます。このような場合は、授乳時に、歯がお母さんの乳首に当たり痛んだり、赤ちゃんの舌の裏が傷ついて潰瘍ができることもあります。また、このように早く生えすぎると、顎骨の中で十分な時間をかけて育たないので、歯の表面がデコボコして弱かったり、歯の根の形成が不十分なため、グラグラして脱落し誤嚥する危険性もあります。早いうちに一度小児歯科専門医でご相談下さい。

  • Q.歯が生えてくるのが他の子より遅いようです。何か異常があるのでしょうか?

    A. 乳歯は、遅い場合は1歳を過ぎてからようやく生えてくることもあり、生える時期には個人差があります。歯が生えてくる前には、生える場所が大きく膨らみ、指で軽く触ると歯のある部分が白くなり触れることができます。1歳になってまだ生えていなくても、歯ぐきが他の部分と比べ膨らんでいれば、歯がある証拠なので心配はありません。どうしても心配であれば、小児歯科専門医に相談してください。

  • Q.お父さんが受け口です。最近子どももあごを前に出します。どうすればいいですか?

    A. 歯並びは、遺伝的要因もあります。たとえば、お父さんやお母さんが受け口ならば、お子さんもそうなる可能性が大きいですので注意が必要です。小さいお子さん、特にまだ奥歯が生えてきてない頃は顎を前に出す癖もあるようです。最近、舌を上に挙げるのが下手なことが、受け口と関係する場合もあることがわかってきました。舌を上手に動かすトレーニングや簡単な装置を利用することもあります。乳歯が生えそろう3歳ぐらいまで様子をみて自然に治らないときには、小児歯科専門医に、一度相談して下さい。

  • Q.歯が足りないといわれました。どうすればいいでしょうか?

    A. 特に下の前歯が足りないことが多いようです。先天欠如といってもともと歯がつくられないこともあれば、癒合歯といって2本分の歯がくっついて生えてくることもあります。乳歯が足りないからといって、永久歯も足らないとは限りません。乳歯のときは経過をみて、永久歯に生え代わる頃に小児歯科専門医で、顎全体が写るレントゲン写真を撮ってもらいましょう。そのとき、永久歯の数などの詳細がわかりますから将来の歯並び・咬み合わせについて相談しましょう。癒合歯で歯と歯がくっついた部分がくぼんでいる場合は、汚れが溜まりやすくむし歯のリスクが高いので、歯みがきに気を付けましょう。

  • Q.私は歯ならびが悪いのですが、子どもも将来悪くなりますか?もし、悪くなるなら、何に気をつけたらよいですか?

    A. 歯ならびやかみ合わせが悪くなるのは4つの要因があります。一つ目は、乳歯をむし歯などで早く失い永久歯の生える場所がなくなるためです。二つ目には、歯と顎の骨の大きさのバランスが悪く永久歯の生える場所がないためです。歯や顎の大きさは遺伝もありますが、良くかまない、または硬いものを食べないことにより、十分顎が発達しないことも関係あります。三つ目は、出っ歯や受け口(反対咬合)の中には純粋に遺伝的な問題が要因のこともあります。4つ目はおしゃぶり、指しゃぶりなどの癖、舌の前方突出癖や口呼吸、頬杖、うつ伏せ寝などの生活習慣も関係します。最近では、永久歯の歯並びが悪くならないように、乳歯の時期から簡単な装置を利用した方がよい場合もあります。最良のタイミングで治療ができるように、小児歯科専門医に相談し、定期的に経過をみていきましょう。

  • Q.おしゃぶりはいつごろまで使っていてもいいのでしょう?

    A. おしゃぶりは、泣いている赤ちゃんを鎮めるのに便利なアイテムであり、育児で大変なお母さんにはお助けグッズでもあるでしょう。「吸う」ことが自然な乳児期には、口の機能や形態に問題は生じません。でも、離乳が完了して口の働きが「吸う」ことから「かむ」ことへと移行してくると、おしゃぶりもそろそろ卒業の時期を迎えます。2歳を過ぎて奥歯のかみ合わせができた後もおしゃぶりの使用が続くと、歯ならび・かみ合わせに影響がでやすくなり、また唇の閉じ方や舌の使い方にも問題が生じやすくなります。乳歯の奥歯が生えてくる1歳半頃からやめる準備を始めて、2歳過ぎまでにはやめられるといいですね。

軟組織・全身疾患

  • Q.舌が短いような気がしますが、授乳には特に支障をきたしていません。将来咀嚼発音等何か心配ないでしょうか?

    A.舌の裏側のすじ(舌小帯)が短く、舌の運動範囲が狭い(少ない)場合、舌小帯短縮症といいます。授乳に際して母親にも子どもにも特に支障をきたすことなく、さらに、母親に乳腺炎がみられたり、子どもの体重が増加しないということがなければ経過を観察するだけで良いでしょう。ただし、3歳すぎて、食べ物をよくこぼす、食べ方や発音が気になる場合は小児歯科専門医に相談しましょう。

  • Q.上唇の裏側のすじが前歯のすぐ近くまで伸び、前歯にすきまがあります。また歯みがきもいやがりますがどうしたらよいでしょうか。

    A. 上唇を上に引っ張ったとき、唇の裏側の粘膜のすじのことを上唇小帯といいます。上の前歯が生えてくると多くの子どもで歯と歯の間にすき間があり、上唇小帯も前歯のすき間近くまで伸びていることがしばしばありますが、心配せずに経過をみてもいいでしょう。

    歯みがきに関しては、すじに直接歯ブラシを当てると痛がり、歯ブラシを嫌がるようになります。保護者の指でしっかりと上唇をめくり、小帯(すじ)が見えるようにします。その後、すじをさけて一本ずつ磨くようにします。または仕上げみがきの際に保護者の人差し指などで上唇小帯のところを押さえて、歯ブラシで傷つけないようにして歯みがきをします。
    一般的には、上唇小帯はあごの成長とともに歯から離れて上のほうに位置していきます。大人の前歯が生えてきても上唇小帯が裏側(口蓋側)まで太く長く伸びていて、前歯にすき間が残っていれば切除を検討することになります。

  • Q.口の中にミルクのカスのようなものがこびりついていて拭ってもとれません。痛みはないようですが、これはなんでしょうか?

    A. 鵞口瘡(がこうそう)といってカンジタ菌の増殖付着によるものですが、カンジタ菌はもともと体の中に散在しています。抵抗力の弱い乳児には比較的みられやすい症状ですが、痛みもなく、1週間ぐらいで消えてしまうことがほとんどです。ただ、無理にはがすと出血したり二次感染を起こしますので、触れないようにし、おしゃぶりやゴム乳首などは清潔を保ちましょう。痛みが強かったり、ミルクの飲みが悪いなど症状が長く続く場合は、小児科か小児歯科専門医を受診してください。

  • Q.口の中に白いぶつぶつが出てきました。これは歯でしょうか?

    A.生まれて間もない乳児の口の中に白色の小腫瘤が1~数個見られることがあります。これは歯の発育過程で組織の一部がうまく吸収されずに角化したものです。乳歯が生えるころには自然に消失するので、治療は必要ありません。

  • Q.歯ぐきが黒く腫れてきました。これはなんでしょうか?

    A.萌出性嚢胞(ほうしゅつせいのうほう)です。歯がはえる頃みられます。歯肉の真下にある歯とその上の歯がかむなどの機械的刺激を受け、水ぶくれのようになることがあります。この中に血液も混じることがあり、黒く見えます。歯がはえると自然に消失しますので、治療の必要はありません。また、歯のはえ方などには影響はありません。

  • Q.舌がひりひりして痛いようです。よく見ると舌がまだらになっています。どうしたらいいでしょうか?

    A.地図状舌です。まだらな模様が見られ、移動します。体調不良の時や、高熱のあと見られることがあります。通常は痛みがありませんが、質問のようにしみたり、ひりひりすることもあります。その場合は刺激の強い食べ物を控えてください。歯みがきなどは通常通り行い、口の中を清潔に保ちます。数日で消えることが多いのですが、体力のつく年齢まで何度も繰り返すことがあります。

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